世界ビジネス環境ランキングとは?

1. 世界ビジネス環境ランキングの本質


 世界銀行(WB)は、2003年から世界ビジネス環境ランキングの調査を開始し、”Doing Business 20xx年”として毎年その調査・分析結果を公開しています。この調査は、190カ国において各国のビジネスに係る規制とそれが企業の設立および運営に及ぼす影響を11の項目から評価しています1)。その評価は企業の意思を決定づけるすべての要素(例えば、熟練労働者の調達しやすさ、市場規模など)をカバーしているわけではありませんが、政策立案者の管理下にあるビジネス上の重要条件を評価しているのです1)。このあたり、WBはさらっと説明していますが、実は重要かもしれません。あくまでも起業家や中小企業がビジネスをやりやすい「環境」か否かを評価しているのであって、ビジネスに係るすべての要素を捉えている訳ではないのです。しかし、このランキングが政治家に与える影響は大きいようで、インドやロシアの元首がランキングの向上を重要視していることは、WB総裁が指摘しているとおりです1)。安部政権もまたその例外ではなく、その経済成長戦略において、「2020年までに世銀のビジネス環境ランキングで先進国中3位」との目標を掲げているのは、11月7日号でご紹介したとおりです。このような視点でいくらか「割り引いて」、「距離を取って」見ていくことも必要かもしれません。それでも、これからその地へ進出しようと考えている中小企業に対して、重要な情報を提示してくれていることには違いありません。


2. 世界ビジネス環境ランキングの評価方法とカスタマイズ


 下の図は、ビジネスのサイクルとその各ステージで課題となる法制度などビジネス環境ランキングで評価している項目を示しています。また、その各評価項目における計測内容をさらに下の表に整理しました。調査・分析の方法としては、190カ国全てで入手可能なデータを効率的に収集・分析するため、①当該国で最大の商業都市を対象、②インフォーマル経済2)を対象としない、③法制度の評価に重点を置き、かつ各評価項目の単純平均を採用(評価項目に重みづけをしない)をしています。実際、分析に用いるデータの約3分の2が法律や規制などの文献であるとしています。また、データ収集には過去15年間に約43,000人、今年は約13,000人の専門家からの協力を得たとのことですが、そのほとんどが弁護士、判事、公証人など法律の専門家であったとのことです。これらを裏返すと、地方都市への進出を検討している、または当該国で法令が遵守されない場合が多い、などといったケースでは、評価のカスタマイズが必要になるでしょう。WBはデータを全て公表していますので、そのようなニーズに合わせたカスタマイズは可能です。


1) “Doing Business 2018, Reforming to Create Jobs”, World Bank Group (2018).

2) インフォーマル経済:非正規雇用のように「官民を問わず経済のあらゆる部門で実行される可能性があるインフォーマルな仕事と、法律上または実際上、公式の取り決めが十分にまたは全く適用されていない経済単位や労働者によるあらゆる経済活動」を指す。(出典:国際労働機関(International Labour Organization: ILO)ウェブサイト、http://www.ilo.org/tokyo/information/pr/WCMS_247089/lang--ja/index.htm)

中小企業の中南米進出を支援するビジネスコラム,新大橋総合研究所

なぜ、今本邦企業が中南米地域に進出すべきなのか。そこは、33カ国の広範囲を領した人口約6億人、GDPは5.1兆ドル(2015年)とASEAN5の約2.5倍で、既に巨大な中間層市場を形成した魅力的な市場です。日本にとっての“地球の裏側”という物理的な距離の遠さを「利用」し、本邦中小企業がビジネスチャンスを生み出し進出するための支援を我々は行っています。