なぜ、ニュージーランドが世界ビジネス環境ランキング1位なのか?

1. ニュージーランドのビジネス環境とは?


 前号では、世界銀行(WB)の世界ビジネス環境ランキングの評価項目についてみてきました。そこでは、190カ国全てで入手可能なデータを効率的に収集・分析するため、

① 当該国で最大の商業都市を対象

② インフォーマル経済を対象としない

③ 法制度の評価に重点を置き、かつ各評価項目の単純平均を採用

とし、企業の意思を決定づけるすべての要素をカバーしているわけではないことをご紹介しました。

 今号では、長年ランキングの1位を保持し続けているニュージーランドに着目し、何がどのように高い評価となっているのかを見ていきます。

 下の表は、世界銀行(WB)の世界ビジネス環境ランキング2018 1)におけるニュージーランドの各評価項目での世界ランクを整理しています。ニュージーランドは10個の項目評価のうち、①ビジネス開始のしやすさ2)、④資産登録3)、⑤資金借り入れの3項目で世界1位と評価され、また②建設許可証の取り扱いで世界3位4)、⑥小規模投資家の保護で世界2位の評価を受けています。⑤資金借り入れについては、2013年から2015年にかけて、個人に関するプラス面、マイナス面両方の信用情報へのアクセスを容易にしたことが評価されています。融資の是非の判断材料が提供されるとともに手続きの迅速化にも繋がっているのでしょう。⑧課税は世界8位ですが、一般消費税の申告と支払いのためのオンラインポータルを改善することにより、納税を簡易化したことが今回好評価されています5)。また、前回には、小切手課税を廃止することによる納税の容易化が評価されています。

 しかし、⑧越境貿易は世界56位と振るいません。これは輸出入に要するコストが高いことが原因となっています。もっとも、輸入に係る書類手続きは1時間程度で済むとして世界最高評価を受けています(世界最悪のケースは10日間)。また、③電力供給は世界37位と高くないですが、手続きに2カ月近くを要するためのようです。


2. 世界1位のニュージーランドと日本をちょっと比べてみると?

 

 下の図は、世界1位のニュージーランドと同34位の日本の各項目での評価スコアを比較したものです。日本の⑤資金借り入れのスコアが低いのは、なんとなく納得できるでしょうか。ここであまり深掘りはしないのですが、日本は資金借り入れに関する法制度が遅れており、例えば公的機関が個人の借り入れ能力をデータベース上で把握していない点などがニュージーランドとの相違点となります。それ以上に注目すべきは、日本の①ビジネス開始のしやすさは世界106位、9つの手続きに約12日を要するという効率の悪さです。反面、⑩倒産処理は世界1位(!)です。これは、ビジネスを始めづらく、資金借り入れも容易でなく、それでいて出ていくのは容易ということで、何か日本の大学受験・修了の制度に似ていないでしょうか。


 最後、日本の環境の悪さに注目してしまいました。次号では、アジアの最後のフロンティアとして注目されているミャンマーを取り上げます。最後になりましたが、本年も当コラムを読んで頂きたくよろしくお願い致します。

1) “Doing Business 2018, Reforming to Create Jobs”, World Bank Group (2018).

2) ニュージーランドでは、開業の手続きが極めて簡素であり、一つの書類提出に半日を要するのみであるとのこと。株式会社の登記もオンラインで申請するシステムであり(出典:JETROウェブサイトhttps://www.jetro.go.jp/world/oceania/nz/invest_09.html)、確かに起業のハードルは低い。

3) 資産登録に要する時間は1日であり、世界最短時間。

4) ニュージーランドでは、建築物の建設にあたって、提出する必要書類のリスト、支払うべき手数料、関連機関による図面または計画に必要な事前承認事項などが政府の公式ウェブサイト上に明記されている。これに加えて建築規制の質を評価されている。

5) もっとも、このようなオンライン化は国際的な潮流であり、今回ニュージーランドだけでなく、エルサルバドルを含む17カ国が同様な改善を評価されている。

中小企業の中南米進出を支援するビジネスコラム

なぜ、今本邦企業が中南米地域に進出すべきなのか。そこは、33カ国の広範囲を領した人口約6億人、GDPは5.1兆ドル(2015年)とASEAN5の約2.5倍で、既に巨大な中間層市場を形成した魅力的な市場です。日本にとっての“地球の裏側”という物理的な距離の遠さを「利用」し、本邦中小企業がビジネスチャンスを生み出し進出するための支援を我々は行っています。