中南米上位国のビジネス環境を、少し掘り下げて分析してみると?(その3)

1. コスタリカ:近年、ランクを大幅にアップさせた、課税と電力供給で高評価


 前号と前々号では、WBビジネス環境ランキングにおいて中南米の上位国であるメキシコ、チリ、ペルーのビジネス環境を少し掘り下げて分析しました。今号では中米のコスタリカを取り上げます。コスタリカは、2011年の世界121位から2018年には世界61位、中南米5位へと躍進しており注目すべき国の一つでしょう。

 コスタリカは、まず「課税」の評価が中南米諸国のなかで最も高く、また日本より上のスコアです1)。実は、2月21日号「中南米上位国のビジネス環境を、少し掘り下げて分析してみると?(その1)」では、そのスコアの読み違いがありました。したがって、日本が中南米4カ国全てに勝る評価を得ているのは、10項目中3項目のみ(4項目としたのは誤りです)であり、各項目での中南米上位国の評価を示すグラフも差し換えました。失礼しました。下の表は、この点を修正した中南米上位4カ国および日本の評価スコアを示したものです。


 コスタリカの「課税」では、付加価値税(消費税)の還付、法人税の監査、行政に対する不服申し立て手続きに要する時間を示した指標であるPostfiling Indexが中南米3位、日本だけでなくOECD高所得国の平均よりも高評価となっています2)。日本は法人税の監査に関する法令順守に時間が掛かっているためスコアが低いようです3)。

 「電力供給」については、パナマに次いで中南米2位です。特に電力供給の信頼性および電気料金の透明性は、日本やパナマと同じ8点満点です。メキシコは7点、ペルーは6点です1)。「資産登録」では、ペルーに次いで中南米2位であり、日本よりも評価が高いです。資産の移管に要する時間を短縮したことが今回改善点として評価されています4)。

また、コスタリカは「小規模投資家の保護」についても、訴訟前とその最中の企業情報へのアクセス性を高めたことにより、大きく改善されたと評価されていますが、しかしそれはまだ改善の途上にあり、中南米上位4カ国では最下位に位置します5)。「倒産処理」も評価が低く、10項目でのスコアに高低がありバランスに欠けるのが現況といえます6)。

 さて、JETROではコスタリカのアレクサンデル・モラ貿易大臣を迎え、「コスタリカ投資セミナー」を4月6日(金)JETRO東京本部にて開催します。注目されています。

 ここのところ、世界銀行のビジネス環境ランキングを取り上げ続けてきました。次号では、JETROが今年1月に公表した「2017年度 中南米進出日系企業実態調査 調査結果」から、進出企業の動向と今後の展望を見ていきます。



1) “Doing Business 2018, Reforming to Create Jobs, Latin America and Caribbean (LAC)”, World Bank Group (2018)

2) Postfiling index (0-100)は、コスタリカ:85.1、中南米平均:47.5、環太平洋地域:56.5、日本:71.69、OECE高所得国:83.5. “Doing Business 2018, Reforming to Create Jobs, Latin America and Caribbean (LAC)”, World Bank Group (2018) および“Doing Business 2018, Reforming to Create Jobs”, World Bank Group (2018).

3) 「経済構造分析レポート –No.55- 日本のビジネス環境ランキングを上げるには何をすべきか?」大和総研、2016年12月27日.

4) 資産登録:コスタリカ:74.36、ペルー(中南米1位):74.90、日本:73.92. “Doing Business 2018, Reforming to Create Jobs, Latin America and Caribbean (LAC)”, World Bank Group (2018) および“Doing Business 2018, Reforming to Create Jobs”, World Bank Group (2018).

5) 小規模投資家の保護:コスタリカ:48.33、中南米平均:47.24、コロンビア(中南米1位):73.33、日本:58.33. Doing Business 2018, Reforming to Create Jobs, Latin America and Caribbean (LAC)”, World Bank Group (2018) および“Doing Business 2018, Reforming to Create Jobs”, World Bank Group (2018).

6) 倒産処理:コスタリカ:34.42、中南米平均:38.95、プエルトリコ(中南米1位):84.20、日本(世界1位):93.44. Doing Business 2018, Reforming to Create Jobs, Latin America and Caribbean (LAC)”, World Bank Group (2018) および“Doing Business 2018, Reforming to Create Jobs”, World Bank Group (2018).

中小企業の中南米進出を支援するビジネスコラム,新大橋総合研究所

なぜ、今本邦企業が中南米地域に進出すべきなのか。そこは、33カ国の広範囲を領した人口約6億人、GDPは5.1兆ドル(2015年)とASEAN5の約2.5倍で、既に巨大な中間層市場を形成した魅力的な市場です。日本にとっての“地球の裏側”という物理的な距離の遠さを「利用」し、本邦中小企業がビジネスチャンスを生み出し進出するための支援を我々は行っています。