中南米上位国のビジネス環境を、少し掘り下げて分析してみると?(その2)

1. ペルー:資産登録や小規模投資家の保護に係る法制度を強化


 前号では、WBビジネス環境において中南米の上位国についてみたところ、日本と比べても遜色ない状況であることをご紹介するとともに、メキシコとチリについて少し掘り下げて分析しました。今号ではペルーを取り上げます。

 ペルーは、「資産登録」について高い評価を与えられています。下の図は、「資産登録」についての中南米での上位国のスコアを示したものです1)。ペルーは世界44位、中南米ではトップに位置しています。ペルーのスコア=74.90は日本(スコア= 73.92)をも凌いでいます。その特長としては、登録に要する手続きの数が少ないこと2)、と所要日数の少ないことが挙げられます3)。特に所要日数は、ペルー:7.5日、中南米平均:63.3日、日本:13.0日と中南米の中では圧倒的な効率の良さで、大丈夫だろうかと少し心配になるくらいです。2011年にはファストトラック制度を設け、急ぎの土地登記については所要時間を半減したそうです。その土地登記の品質は中南米5位で、メキシコより上位に評価されているので受容可能な品質を高効率で実現していると言っても良いでしょう4)。


( )書きのRankは世界でのもの.

「資産登録」についての中南米での上位国のスコア1)


 ペルーは「小規模投資家の保護」についても比較的高い評価を与えられており、世界51位、中南米4位で、日本(世界62位タイ)の上位にあります5)。これは、投資家が企業の非公開文書へのアクセスの要求を可能とするなどの法整備を進めたことによります1)。

 一方、ペルーは「越境交易」が中南米上位4カ国で最下位と比較的評価が低いです。近い将来TPPを活用した交易を行う本邦企業にとっては気になるところです。これは、関税を除く植物検疫検査などに要するコストなどが比較的高いためです。例えば、輸出に係るコストでは、同一重量でペルー:US$460の場合、中南米平均はUS$526.6、メキシコ:US$400.0、環太平洋地域:US$387.6、OECE高所得国:US$149.9、日本:US$264.9という状況です。これは手続きの場所や実施体制など効率性に関係して評価されています。


( )書きのRankは世界でのもの.

「小規模投資家の保護」についての中南米での上位国のスコア1)

 

 本コラムは今号にて20回目となりました。いつも読んで頂きありがとうございます。今号ではペルーのビジネス環境について見てきました。次号では今号で取り上げられなかったコスタリカについて分析していきます。



1) “Doing Business 2018, Reforming to Create Jobs, Latin America and Caribbean (LAC)”, World Bank Group (2018)

2) 登録手続きの数は、ペルー:5.0、中南米平均:7.2、ブラジル:13.6、環太平洋地域:5.5、OECE高所得国:4.7. “Doing Business 2018, Reforming to Create Jobs, Latin America and Caribbean (LAC)”, World Bank Group (2018)

3) 登録手続きの所要日数は、ペルー:7.5日、中南米平均:63.3日、日本:13.0日、環太平洋地域:74.5日、OECE高所得国:22.3日. “Doing Business 2018, Reforming to Create Jobs, Latin America and Caribbean (LAC)”, World Bank Group (2018).および“Doing Business 2018, Reforming to Create Jobs”, World Bank Group (2018).

4) 土地登記の品質のスコア(30点満点)は、ペルー:17.5、中南米平均:12.0、日本:24.5、環太平洋地域:15.8、OECE高所得国:22.7. “Doing Business 2018, Reforming to Create Jobs, Latin America and Caribbean (LAC)”, World Bank Group (2018).および“Doing Business 2018, Reforming to Create Jobs”, World Bank Group (2018).

5) “Doing Business 2018, Reforming to Create Jobs, Latin America and Caribbean (LAC)”, World Bank Group (2018).および“Doing Business 2018, Reforming to Create Jobs”, World Bank Group (2018).

中小企業の中南米進出を支援するビジネスコラム,新大橋総合研究所

なぜ、今本邦企業が中南米地域に進出すべきなのか。そこは、33カ国の広範囲を領した人口約6億人、GDPは5.1兆ドル(2015年)とASEAN5の約2.5倍で、既に巨大な中間層市場を形成した魅力的な市場です。日本にとっての“地球の裏側”という物理的な距離の遠さを「利用」し、本邦中小企業がビジネスチャンスを生み出し進出するための支援を我々は行っています。