中南米進出に向けたフィージビリティスタディ(前篇2)

1. 事業企画案とは?


 前号でも述べましたとおり、「事業企画案」とは、事業のアイデアをベースとした「初期仮説」です。これの練度がフィージビリティスタディ(F/S)での検証作業を左右するともいえ、F/Sに要する検証作業の時間とコストを低減し、かつ精度を向上させるべく、作成しなければなりません。F/Sは、事業企画案を単に検証するだけの作業ではなく、企画案自体を「作り上げていく作業」でもあります1)。F/Sの調査・分析により当初の企画案で想定した方法よりも良いものがあると判明した場合、修正案を提示するなど企画段階での概略計画をより詳細化していきます。

 事業企画案をどれだけ明確にできるかは、その企業による海外進出の方向性によるところが大きいです。それは、

① 既存事業をほぼそのまま海外へ展開するパターンと、

② 国内で培った技術・ノウハウを組み合わせて海外で新規事業を展開するパターン

の二つに大別されます。


2. 事業企画案で、どの国へ進出するのかを決める


 下の図は、海外進出に向けた事業企画案に盛り込む主な項目を示しています。はじめに、「どこで」「なにを」「どのように」売るのかを整理しなければいけません。

 進出国を決めるにあたっては、まず「検討候補国」をいくつか挙げるわけですが、それには地域の市場規模や事業分野との親和性など、いくつかの切り口があります。このビジネスコラムの趣旨からすると、中南米地域のいくつかの国が「検討候補国」に挙がるわけですが、「なぜ中南米なのか、なぜ東南アジアは排除できるのか」など、海外進出に着手する上での根本的な議論をここでやってしまいましょう。「検討候補国」を選定したなら、それらの国々のi) 市場性、ii) 規制、iii) リスク、iv) オペレーションなどを概要レベルで机上調査します。ここで詳細に検討しようとすると作業が膨大となり先へ進めません。進出したい国が既にあるなら、その確認・整理の作業と捉えても良いかもしれません。ただし、進出国には産業によって政府や自治体の支援や優遇税制がある一方、外資、業種に対する規制などもあるので、このステップで概略評価しておいた方が良いでしょう。「検討候補国」のなかから進出国を選ぶにあたっては、各国の各要素での評価を数値化し、その合計点で決める方法など分かりやすいと考えられます。

 私どもはF/Sだけでなく、この事業企画案の作成に対してもご支援する用意がありますので、お気軽にお問い合わせください。ご相談には無料で対応しております。





3. 事業企画案で、何を売るのかを決める

 

 海外進出のご相談をする段階で、これはもう決まっているという場合と実はまだもやもや漠然としているという場合があろうかと考えます。もやもや漠然としているという場合には、その分野の専門家の意見も必要になるかもしれません。いずれにしろ、この段階で「売り物」を初期的に設定しましょう。先述しましたとおり、検討の過程で「売り物」の修正は十分考えられますが、ここは方針を決めましょう。

 新規事業のアプローチとしては、①「得意分野にフォーカスして商機の有無を確認する」プロダクトアプローチと、②「ニーズを幅広く研究する」マーケットアプローチの二つに大別されるかと考えられますが、ここを整理しておきます。また、「売り物」の顧客への提供価値、すなわちバリュープロポジションを明確化することを「試み」ます。この段階では必ずしも顧客や競合についての情報が十分ではないので、ある程度の情報や想定に基づいた「初期仮説」を整理するのです。また、「売り物」の製品・サービスの特性に競合との違いがなくとも,「顧客との関係性」で差別化を図ることも可能性がないものか検討しうる場合もあるかもしれません。

 今号を読んで頂きまして有難うございます。次号でも引き続き海外進出に向けた事業企画案に盛り込む項目を概説していきます。



1) 「海外進出のためのフィージビリティスタディ」芳野剛史著(2015)を基に筆者が作成.

中小企業の中南米進出を支援するビジネスコラム,新大橋総合研究所

なぜ、今本邦企業が中南米地域に進出すべきなのか。そこは、33カ国の広範囲を領した人口約6億人、GDPは5.1兆ドル(2015年)とASEAN5の約2.5倍で、既に巨大な中間層市場を形成した魅力的な市場です。日本にとっての“地球の裏側”という物理的な距離の遠さを「利用」し、本邦中小企業がビジネスチャンスを生み出し進出するための支援を我々は行っています。