中南米進出の拠点をどこに置くのか?(その2)

 前号では中南米への進出とその後の水平展開に向けた拠点候補として、中南米の「首都」とも呼ばれるマイアミを取り上げました。今号では、他の視点からの「中南米拠点論」を見ていきます。あるWeb-site 1)は、中南米地域進出の重要拠点として、日本にとって中南米第一の輸出相手国であるパナマ国を挙げ、その長所と短所を概括しています。その一部を引用しつつパナマ国の長所を列挙しますと以下のとおりです。

① 世界で二番目の規模を有するコロン保税区をはじめとした保税区2)や経済特区が整備されている。

② 高い経済成長率: 首都パナマシティーの不動産ブームやカリブ海沿岸域での観光業などにより、近年高い経済成長を遂げている。

③ ラテン市場への戦略的立地: 南北アメリカと太平洋、大西洋の結節点に当たる地理的重要性からラテン市場への物流・アクセス網が発達しており、米国企業や大手日系企業をはじめとした韓国、中国など多くのアジア企業が進出している。

④ パナマ政府の外国投資優遇策: ブラジルなどに比べて外国企業に対する規制が比較的に低いと言われる。税制面にも優遇策があるが、経済協力開発機構(Organisation for Economic Co-operation and Development: OECD)は、パナマをタックス・ヘイブン3)ではなく、オフショア金融センター4)にリストアップしている。

 パナマ、タックス・ヘイブンとくると、「パナマ文書」5) →富裕層の脱税、と連想されるかもしれませんが、OECDの見解ではパナマ国そのものはブラックリストに該当しないということです。


 さて、前号、今号では、他文献などから中南米進出の拠点としてのマイアミとパナマを概観してきました。次号では、私の持論となる進出拠点としてのペルー国首都リマ市についてお話させて頂きたく思います。来週は掲載をお休みして少しじっくりと取り組ませていただきます。今号も読んで頂きまして有難うございます。



1) 「中米パナマへの進出-パナマになぜ多くの外資が拠点を構えるか-長所・短所」、KAERU PARCELS JAPAN MARKETING ENTRY JAPAN SHOPPING SERVICE, 25. June 2017. (https://www.onegai-kaeru.jp/%E3%83%91%E3%83%8A%E3%83%9E-%E3%83%A9%E3%83%86%E3%83%B3%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E5%B8%82%E5%A0%B4%E9%80%B2%E5%87%BA%E3%81%AE%E9%95%B7%E6%89%80-%E7%9F%AD%E6%89%80/)

2) 保税地域(ほぜいちいき、bonded area):外国から輸入された貨物を税関の輸入許可がない状態で関税を留保したまま仮置きできる場所のこと。(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BF%9D%E7%A8%8E%E5%9C%B0%E5%9F%9F)

3) タックス・ヘイブン: 一般的に所得に対して、無税または極めて低い税率の国・地域を指す。単一の定義はなく、文献によって異なるが、約30 ~ 70 の国・地域がタックス・ヘイブンと見なされている。経済のグローバル化の進展と税負担の少ないタックス・ヘイブンは、税のダンピング(有害な租税競争)を誘発するため、OECD はタックス・ヘイブンのブラックリストを公表した。「タックス・ヘイブン規制の強化」山口和之著から一部改変.

4) オフショア金融センター (Offshore Financial Center/Centre:OFC): 通常は、小規模かつ低税率な法域であって、非居住者たるオフショア会社に対する企業向け商業サービスの提供とオフショア・ファンドによる投資に特化したもの。Moran Harari, Markus Meinzer and Richard Murphy (October 2012) "Financial Secrecy, Banks and the Big 4 Firms of Accountants" Tax Justice Network.

5) パナマ文書: パナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」から流出した膨大な量の内部文書。南ドイツ新聞が匿名の人物から入手、国際調査報道ジャーナリスト連合(International Consortium of Investigative Journalists : ICIJ)とともに分析して、2016年5月に21万以上の法人およびその株主らの名前を公表。世界各国の首脳や富裕層が英領バージン諸島、パナマ、バハマなどのタックス・ヘイブンを利用した金融取引で資産を隠した可能性を示していた。その影響により、アイスランドとパキスタンでは首相が辞任。2017年2月には経営者のモサック氏とフォンセカ氏がブラジルの汚職事件に絡むマネーロンダリングでパナマ検察当局に逮捕された。「世界に衝撃を与えた「パナマ文書」わかりやすく解説すると…」(http://www.huffingtonpost.jp/2017/10/18/panama-papers_a_23247130/)。

中小企業の中南米進出を支援するビジネスコラム,新大橋総合研究所

なぜ、今本邦企業が中南米地域に進出すべきなのか。そこは、33カ国の広範囲を領した人口約6億人、GDPは5.1兆ドル(2015年)とASEAN5の約2.5倍で、既に巨大な中間層市場を形成した魅力的な市場です。日本にとっての“地球の裏側”という物理的な距離の遠さを「利用」し、本邦中小企業がビジネスチャンスを生み出し進出するための支援を我々は行っています。